『 傷 』
夜中ふと目を覚ますと、いつも通り腕の中に居る桃音の姿は無い。
一人で過ごすには少し大きな寝室が更に孤独にさせる。
ふと窓を覗くと、星があまりにも綺麗で、なんとなく屋根に登ることにした。
桃音がよく空を眺めている場所。
行ってみると、そこには寝巻き姿の桃音が居た。
雪が積もる屋根の上でぼんやりと空を見つめて。
張遼は自分の羽織っていた上着をそっとかける。
ようやく張遼の存在に気が付いた桃音は、上着の主を見つめ隣に座るように指示をする。
「…ありがと。」
「風邪をひかれては困る。」
「……昼間のこと…なんだけどさ、僕には無理だよ。そんなこと。」
「………。」
「だって、僕は何の為にここに居るの?戦う為に生かされた身なのに。。。」
「…ならば私の妻として居れば良い。」
「そんなの嫌だっ!」
睨みつけるよう真直ぐに張遼を見つめる瞳からは、ポロポロと大粒の涙を溢れていた。
「……私の伴侶になることが嫌なのか…?」
即効で否定され悲しそうに聞く。
「っ、違う!僕は…僕は……あの部屋に独りでりょーちゃんのことを待ってなきゃいけないのが嫌なんだ!!
戦に将としてだったら一緒に行けるじゃん!りょーちゃんが不安なら、りょーちゃんのこと…僕だって心配で不安に決まってる!いくら猛将だって言われてたって……
…それに…りょーちゃんいつも突っ込んでくから…、だからその補助がしたいの。万が一何かあっても……さ。」
涙でぐちゃぐちゃになった顔を小さな手で覆いながら伝えられた言葉。
まだ…子どもの恋愛のように思っていたが、これほどまでに深く愛されていた。
興奮して息が上がっている桃音をぎゅっと力強く抱きしめる。
「すまぬ、モネ…。そなたの気持ちを理解できず、私の一方通行な思いを押し付けてしまった…。」
「ううん、大丈夫。僕こそ何も言わなかったのがいけないんだもん。
でも…寂しかったんだ。前に具合が悪くていけなかったとき。殿や甄姉様がお見舞いに来てくれたんだけどね、りょーちゃんが居なくて独りで過ごすの…すごく寂しかったの。」
「そうであったか…。先程私もあの部屋に独りでは孤独に感じて、だから屋根に登ろうと思ったのだ。」
「ふぅん、あのりょーちゃんでも孤独を感じることなんてあるんだね。なんだか変なのー。」
「私だって人間だ、寂しいとも恋しいとも感じることもある。」
「それもそうだね。…くしゅっ」
「風邪をひいてはいかん、そろそろ中に戻ろう。」
寝室に戻ると、お互い横になった。
時刻はもう明け方に近い。
「りょーちゃん、大好きだよ」
ぎゅっと抱きしめながら、頬にトレードマークの髭に首筋にキスをする。
「私もだ、モネ」
甘い甘い二人の時間は過ぎ、いつの間にか熟睡してしまうのでした。
寝過ごして二人とも夏候惇に怒られるのは、いつもと変わらない一日の始まり。
---end---
わー、ここまで作るのに半年かかってしまいましたw
本当ノロノロですねぇ(・ω・;)
まぁ、、、一件落着でよかったですね、張遼さん(笑
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